2011年9月11日日曜日

日本のアジア戦略


■中国の成長による対応の変化
『中国経済軟着陸に不安』(日経20110910)と題する記事がある。
そのなかでは言及されていないが、構図は以下のようになるのではないか。
  中国の問題:インフレ(輸出力を温存するために、元の上昇を政府が抑え込むことによる。)
  →購買力の低下、生産コストの増大、輸入コストの増大。
   (自国通貨の政治的操作は、国内経済にしわ寄せを与えるのである。)

また、「日本国内工場の生産革新と中国人件費高騰で日中のコスト差は縮まりつつあり、各社(富士通・ソニー)は高品質の「日本製」で振興国市場を開拓する。」『パソコン生産国内回帰』(日経20110909)とある。
先のブログ『日本の本業は?』で書いたように、「日本ブランド」を売り込むことをテーマにしているようだ。

■東南アジアに軸足を転換
一方で、人件費高騰がまだ始まっていない東南アジアの国々へは、生産拠点を移す動きが続いている。
『マツダ小型車ベトナム生産』(日経20110909)中長期で成長を期待できるベトナムでの現地生産でコスト競争力を高める。・・・日本などから主要部品を輸出し、現地で組み立てるノックダウン方式を採用する。
また、『パナソニックベトナムに2工場』(日経20110909)では、パナソニックは三洋電機の白物家電事業を中国ハイアールに売却して、(中国と距離を置いても)、成長性・人件費に魅力のあるベトナムに生産拠点(開発から生産まで一貫体制を敷き事業の現地化を進める。中国での販売はハイアールに譲り、東南アジアで稼ぐという戦略だ。また、インドに天井扇新工場により、年間1750万台の市場の現地生産を拡充し、年100万台の生産を行うとしている。(日経20110910)
『アジアで7割超稼ぐ』(日経20110910)には「2011年4月~6月期に日本企業がアジア・オセアニアで稼いだ営業利益は全体の7割超え・・・中国や東南アジアでは中間所得層が増え、購買力が向上。・・・アジア市場の開拓は日本企業の成長に不可欠で、今後は小売業や食品関連でもアジア市場が加速する。」とある。




■規制による生産の制約を受ける企業
『ツガミ国内生産を新潟に集約』(日経20110909)にあるように、海外生産の国際的な規制を受ける精密加工機械は、国内拠点の集約化によって対抗している。

『トヨタ中国重視鮮明に』(日経20110904)では、中国政府はレアアースの生産調整・輸出規制を行っているため、「ノウハウの詰まった機関部品は日本でつくるという従来路線を転換する」とある。
規制により事実上生産ができなくなるのであれば、規制を逃れる生産体制を組まざるをえないということである。




■中国の日本取込戦略
中国としては、トヨタが基幹部品を国内で生産することは、歓迎であろう。ハイテク部品の自国生産、さらに輸出により、国内での収入が得られるばかりでなく、国内販売単価の抑制(インフレ抑制)さらに、長い目で見た先端技術の国内他企業への浸透である。
『中国系ファンド日本企業の大株主に』(日経20110910)中国の政府系ファンドとみられる投資家が日本株を買い増している。・・・・日本株を売り越しているのは欧米投資家で、中国などアジアマネーの流入はつづいている。」とある。東南アジアの政府系ファンドは、日本企業への影響力を増し、自国への利益誘導さらには、自国の企業へと取り込もうとしているのではあるまいか





【株価結果と予想】20110911
《結果》大幅下げ
日経平均    8760(-33) → 8,737(-55)○
NYダウ    11300(+5)     →10,992(-300)× ギリシャ債務不履行危機
三菱ケミ        530(+4)        →528(+2)○
NPC       950(+19)       →857(-74)×
みずほ          111           →113(+2)×
NTTUD     57000(-700)       →57500(-200)△

×予想と反対向きに動いたとき。
△方向が予想と一致するが、値幅が倍以上異なるとき。
○ほぼ予想に沿った結果
◎ほぼ的中


《予想》大幅下げ
日経平均    8500(-237)       →
NYダウ    10750(-150)    
三菱ケミ        520(-8)        →
NPC       840(-27)       →
みずほ          110(-3)       →
NTTUD     55000(-2500)      →
円/ドル     75

全面安となるだろう。
ユーロ問題は解決から、まだ遠い。
ギリシャ問題のクラッシュとは・・・・・ギリシャのユーロ離脱か? その時は、各国銀行が屑のようなギリシャ新通貨をつかまされることになっているだろう。それても、ユーロ加盟国による共同救済か?いずれにせよショックは大きいことになっているだろう。ギリシャ借金の総額は38兆円であり、今回のオバマ政権による雇用対策が35兆円であることを考えると、各国負担はもっと薄れるのであるから、世界経済はギリシャが債務放棄しても、持ちこたえるだろう。


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