JAL再生の経緯
- JAL(日本航空)は2010年1月19日に東京地裁に会社更生法の適用を申請。
- 同年2月1日 京セラとDDI(現KDDI)の創業者である稲盛和夫氏か日航の会長に就任、彼は無給で務め、見事にJALを建て直すことに成功。
- 2012年9月19日 東京証券取引所第一部に再上場。その後、アベノミクスといった盛り上がりも経験し、現在に至る。
11578億円のうち、7299億円の債権が放棄され、JALの株式は無価値なものになった。
法的整理を経験したために、さまざまなしがらみから開放され身軽になった。
法的手続きの間もJALは欠航することなく飛び続けた。
稲盛氏の債権計画で大きかったことは、稲盛氏の社会的な信用であろう。そして、JALフィロソフィーといった企業哲学を残したことである。JALフィロソフィーは下記HPに公表されている。
http://www.jal.com/ja/outline/corporate/conduct.html
再上場の課程で、2009年度約5万2千人の人員を2012年度約3万6千人に削減(自然減を含む)
その過程で、パイロットの植木義晴氏(現社長)が取締役に抜擢され、人員整理というつらい仕事にもあたることになった。彼は、JALフィロソフィーの「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」という言葉が心の支えになったという。
社内体質の変化
a) 採算意識の高まり
路線別収支・部門別月次収支
b) マニュアル主義⇒考える現場
顧客を中心に考えるマニュアルの弾力的運用
羽田国際線発着枠(外的制約)
現時点で、配分は、ANAが11、JALが5となり、ANAが有利となっている。国土交通省HPより、
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平成25年10月2日
平成26年夏期ダイヤから拡大される羽田空港の昼間時間帯の国際線発着枠(1日40便(年間約3万回))のうち、現在までに二国間合意が整ったものについて、下記のとおり国内航空会社に配分することとしたので、お知らせいたします。
記
現在までに二国間合意が整った国に係る発着枠 31
うち日本側 16 (相手国側 15)
・全日空 11
・日本航空 5
以上
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http://www.mlit.go.jp/report/press/kouku04_hh_000084.html
この条件の差もあり、2014年4月30日の決算発表と業績見通しでは、2015年3月期の予想経常利益は、ANAは559億円(+28%)、JALは1,350円(▲14%)としている。
また、JALは燃料費の上昇も踏まえたうえでの予想としており、安全側の予測となっている。
ただし、ANAについては、保有発着枠を使い切れない可能性も指摘されており、ANAの業績下振れリスクを嗅ぎ取る市場関係者が多いとの指摘がある。(2014/5/1 17:14 日本経済新聞 電子版)
運輸業界の市場状況を一覧
チャートは、IndexSimulatorで作成した。IndexSimulatorは下記HPでダウンロードhttp://www.vector.co.jp/soft/winnt/business/se494636.html
PBR - ROE
JALのPBRはそれほど低いわけではない、資産価値自体がまだ低位置にあるということだろうか。
PER - ROE
人員整理を経験し、身軽になっていることが反映されている。
自己資本比率 - ROE
JALは債権整理を経験している ため、借金が少ないため、自己資本比率が高い。
負債÷当期利益 - ROE
負債÷当期利益は、利益を全て返済にあてた場合の完済までの年数である。
総じて言えることは、JALは他の企業と比較して稼ぐ力ROEが高いということだ。
JALは、一度法的整理を経験しているので、非常に健全な企業として蘇っている。航空機事故。紛争がこの業界のリスクとして存在する。
JALは、大病を経て軌跡的に立ち直ったという指摘が多い。
保護されている企業は、JAL病になっていないか確認するべきである。
JALの次は国家の破綻であると、大鹿晴明氏は著書『落ちた翼』の中で指摘している。
法的整理を経験してよかったという指摘も多いが、債権者、株主は大変な目にあっただろう。
『JAL、法的整理と上場廃止は大正解』 小宮一慶 2010年1月22日
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100121/206407/?ST=career&P=1
参考文献
『堕ちた翼』 大鹿靖明 朝日新聞出版
『沈まぬ太陽(一)~(五)』 山崎豊子 新潮社
『稲盛和夫最後の闘い』 大西康之 日本経済新聞社刊
『腐った翼』 森功 幻冬舎
『JAL再生』 引頭麻実 日本経済新聞社刊
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※2015/12/5よりIndexSimulator は改定を重ね、新ソフトウェアStockFinderとして再リリースした。再リリースの主な項目は以下の通りであるが、コードのほとんどを書き直したため、高速化するとともに、操作性も全く別のものに改善された。
1)チャートワークシート、インターネットデータ取得シートを本体ソフトウエアからの分離による、ファイルの肥大化防止。
2)指標連動性の分析機能追加
概要紹介ページ
http://katsuyama-shin.blogspot.jp/2015/12/stockfinder.html
公開ページ
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/business/se511919.html